管理栄養士のあんずです。
近年糖質OFFダイエットが話題であり、本が出ていたりテレビでも頻繁に取り上げられていますね。
糖質を摂りすぎている人向けにおすすめらしいキッチングッズ「Tou Tool(トウトール)」ご存じですか?
2020年3月23日、お昼の情報番組「ヒルナンデス!」でも放映され話題になっておりましたので、どんな商品なのか調べてみました。
記事の最後に、糖質OFFについて少し触れていますので、最後まで是非ご覧いただきたいです。
Tou Tool(トウトール)ってどんな糖質OFFのキッチングッズなの?
自宅で簡単にご飯の糖質をOFFできる商品がTou Tool(トウトール)です。(公式サイトはこちら)
炊飯時にジャーに入れるだけでご飯の糖質を15~17%OFFしてくれる商品だそうです。
主食として糖質の補給にかかせない食品「米」の糖質をOFFするとあって白米の食べすぎで糖質過多になっている人は気になるんじゃないでしょうか。
医療用にも使用されるシリコーンゴム製で、180度まで耐えられる素材でできていて、高品質高耐久素材なのも売りのようです。
安心に使える商品なのは大事ですね。
Tou TOOl(トウトール)の使用方法
使用方法は、とっても簡単です。
一言でいうと、「炊飯の前に設置して、炊き上がり後に溜まった水ごと取り除くだけ」。
公式ページより使用方法は以下の通りです。
- いつもの水の量に80mlプラスして入れ、浸す。
- お米と水を水平に均す。
- 炊飯前にトウトールをお米に「少し沈める」ように水平に設置する。
トウトールのサイドに穴が開いており、そこから水が少し入ってくる程度沈めるのが目安のようです。 - 炊飯
- 炊飯後、トウトールに溜まった水を捨てる。
(熱くて火傷の恐れがあるため、ふきんや鍋つかみの使用必須)
さらに、
使用にあたってのポイント・使用できる機器も細かく指定がありました。
これは助かりますね。
- 炊飯器は直径20㎝以上を推奨
- 5合炊きまでで使用可能
- 食洗器OK
使用できる炊飯器の種類
- 圧力IH炊飯器
- IH炊飯器
- マイコン炊飯器
- ガス炊飯器
使用できない炊飯器の種類
- 蒸気炊飯器
- 無水鍋
- 脂質カット炊飯器
- 業務用炊飯器
この商品が不向きな人もいます。
ご飯を炊くときに、プラスするサプリ米ような商品を併用している人です。
炊いている最中に同時に重湯として除去するので、
炊飯時にプラスで入れる商品も一定量除去されてしまう可能性は十分考えられます。
なぜTou Tool(トウトール)を使うとご飯の糖質をOFFできるのか
結論から話すととっても単純です。
炊飯中の米の煮汁に溶け出る糖質を除去してくれる、ということです。
炊飯中の米の煮汁とは、重湯のことを指します。
重湯といえば、消化が良く糖質も摂取できるので、離乳食や病気で食欲のない人のために使用したりしますよね。
炊飯中に重湯の成分として抽出される糖質を除去しつつ、お粥にならないよういつも通りの水分量のご飯に炊き上げる優れものです。
Tou Tool(トウトール)で除去される栄養価について
トウトールで除去する糖質の正体が「重湯」だという話は上記でしました。
ではここで、重湯と白米ご飯の栄養価(食品100gあたり)を見てみましょう。
栄養成分 | 重湯 | 白米ご飯 |
エネルギー | 21kcal | 168kcal |
水分 | 95.0g | 60.0g |
炭水化物 | 4.7g | 37.1g |
単糖当量 | 4.8g(推定値) | 38.1g |
食物繊維(総量) | - | 1.5g |
たんぱく質 | 0.3g | 2.5g |
脂質 | 0g | 0.3g |
ナトリウム | - | 1mg |
カリウム | 4mg | 29mg |
カルシウム | - | 3mg |
マグネシウム | 1mg | 7mg |
リン | 4mg | 34mg |
鉄 | 0.1mg | |
亜鉛 | 0.1mg | 0.6mg |
銅 | 0.01mg | 0.1mg |
マンガン | 0.04mg | 0.35mg |
セレン | 1μg | 1μg |
モリブデン | 8μg | 30μg |
ビタミンB1 | - | 0.02mg |
ビタミンB2 | - | 0.01mg |
ナイアシン | - | 0.2mg |
ビタミンB6 | - | 0.02mg |
葉酸 | - | 3μg |
パントテン酸 | 0.03mg | 0.25mg |
ビオチン | 0.1μg | 0.5μg |
(参考:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(七訂))
単糖等量は、いわゆる糖質量と思ってください。
表より、普通の白米100gの糖質量は38.1g、重湯100gの糖質量の推定は4.8g。
つまり計算上においては、通常100gのご飯から100gの重湯を除去すると4.8gの糖質がOFFされ、残りのご飯の糖質量は33.3gと予想できますね。
トウトールの公式ページによると、
トウトールを使用して炊飯したご飯の計測値では、糖質は5.6gの15%は除去できるという結果だそうです。
そして、重湯に含まれる栄養素は糖質だけでないのは、上記の表をご覧いただいてもわかると思います。
公式ページには糖質がオフされるとの記載しかありませんでしたが、
重湯として糖質をOFFしているという原理から考えると、
糖質だけでなく重湯に含まれる栄養素がトウトールを使用するとカットされるということは十分予想できます。
しかし白飯と重湯の成分比較からも、重湯を抜いて損失する栄養はもともとの含有量が少ないものばかりです。
ここでの損失は不足に陥るほどのものでなく、
主食いがいの食事でしっかり摂取してカバーできる範囲内だと考えます。
それよりも糖質の摂りすぎで抑えなければいけないけどなかなかできずにいる人にとっては、
他の栄養素の損失を踏まえても糖質15%OFFの価値は大きいかもしれません。
Tou Tool(トウトール)を使用せず、ごはんの糖質を15%カットするのは無理?!
トウトールを使用するとご飯の量を変えずに糖質を15%カットできる、というのは何度もお話しました。
とっても簡単に使えて糖質OFFできるなんて!!!すごい!!!というところでしょうか。
ではトウトールを使用せず、ご飯の糖質を15%OFFする方法、他にないだろうか・・・
ありますよ、普通に炊いたご飯の食べる量を15%減らす。
単純です。
トウトールは、良くも悪くも、
糖質だけOFFされる商品ではなく、重湯として抽出された成分をOFFするという、比較的自然なOFFの仕方です。
糖質以外の栄養価の損失も予想されることもご理解いただけたかと思います。
そのため、食べるご飯を15%OFFすることでトウトールを使用するのと同等の糖質OFFが実現できることは可能だということです。
(糖質だけOFFされる商品ということであれば話は少し変わります。)
「ご飯を15%もカットするなんて、そんなの無理」って思う方、
15%のご飯ってどのくらいだと思いますか?
コンビニのおにぎり1個あたりのご飯はだいたい100g。
これを例に考えてみましょう。
15%残すとするとグラムにして15gですね。
ご飯15gとは、
お寿司のシャリ1個分です。笑
コンビニのおにぎりをシャリ1個分残せばOK。
通常の食事にして考えると、
お茶碗1杯が大体200g程度ですので、シャリ2個分減らせばトウトールと同じだけの糖質OFFは可能です。
100gあたりシャリ1個分のご飯を減らすかトウトールを使うか・・・
どっちがあなた向けでしょうか^^
Tou Tool(トウトール)で糖質OFFを検討するメリット
トウトールのメリットを簡単にまとめると、2点。
- 炊飯時にトウトールを使用すると、今までとご飯の量変えずに糖質を15%OFFできる。
- その他の栄養価の損失も一定量考えられるが、おかず次第でカバーできる範囲内である。
糖質過多なのはわかっているけど一口も減らせない!!!!
という方にとっては楽に糖質OFFできる食品グッズのようですね。
最後に・・・あなたにとって糖質OFFは必要か否か
冒頭でもお話した通り、近年糖質OFFというワードがとても流行しています。
糖質がよくないというようなイメージが与えられがちな情報も多いですが、
本来は、糖質が悪いということではありません。
なぜなら糖質は、人が活動する上で重要なエネルギーの原料になる栄養素の1つです。
食べた糖質を、エネルギーとして利用する形に変えるためには他の栄養素も必要なのは知っていますか?
消化して、吸収して、そして体内で多くの化学反応を経てエネルギーとなります。
もっというと、正常なホルモン分泌も必要です。
では糖質OFFがなぜこんなに流行しているのか、
- 正常に代謝できるような食事のバランス・食事の仕方をしらない
- とりあえずメディアで出てきた情報に流されまくっている
- 自分が糖質OFFする必要があるほど糖質を摂取しているのか、自分の食事を正しく評価できない
これらが現代の大きな問題です。
そしてさらに言うと、
15%の糖質OFFがどの程度のことなのか、それも知らないんじゃないでしょうか。
果たしてその状態で、本当にあなたにとって糖質OFFが必要だといえますか?
確かに中には糖質過多でOFFを必要とする人もいるでしょう。
しかし、「糖質をOFFすること」が自分に必要なのかどうか
そういったことを知りもしないで、
転がっている情報に飛び乗ることには、危機感を感じるべきだと思います。
食事を見直してもなお糖質OFFが必要になった方の場合は、
便利なキッチングッズなどに手を借りながら自分の食事と向き合うきっかけとしてはとてもよいと思います。
これらを念頭において楽しくおいしく健康な食事を目指したいですね。